2016.10.7 丸和さん勉強会
上記のテーマで勉強会を行いました。
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◆杉本さん堆肥場&圃場見学
【解説】
■堆肥場
(丸山)豚糞と鶏糞と、ワラが入っているということは馬糞も入っているか。ちょっと窒素系が多いか。
(参加者)これはワラですか?
(丸山)ワラっぽいですよね。
(参加者)ワラともみ殻?
→ワラも分解しているよね。
ずいぶん温度が上がっているね。50℃。
(丸山)菌量が少ないのかな?匂いが、というか菌の張り方も弱いですよね。そんなに強くないですよね。
(参加者)これで強くないんですか?。
(丸山)さっきのところと比べても、菌量の回り方が、ほら。
(参加者)確かに。
(丸山)吉川さんのところでも、ちゃんと菌層があって、下にって感じでしたが、こっちは菌層が少ない。積んだばかりだからなのかな。
(参加者)結構、植物性の資材の量は多いですよね。もみ殻主体。みなさん、生をもってこられるのですか?
(丸山)基本的にはそうです。乾燥していると適当な水分量にするのが大変。特に屋根がかかっていると水をかけるのが大変。
(参加者)丸山さん、今年はヨトウって少ないですか?
(丸山)ヨトウ?今年はそんなに聞いていないですけど。他の虫はずいぶん聞きますが。
(参加者)そうですよね。ヨトウはそんなに大したことはなくて。
(丸山)乾燥していない、水が多いから。
(参加者)水が多いとヨトウは出にくい?
(丸山)たぶん。乾燥すると出やすいって言います。
コガネムシが多いと聞きますが?
(参加者)コガネムシ、あと根切りが多いな~、と思って。コガネムシって畝の際にいますね。養生処理をしたからかな?掘るとゴロゴロ出ています。
■大根畑のサルハムシ
サルハムシ、普通に歩いていると思うんですけど。いたいたいた!
(参加者)そいつが大量発生しているんですね。
→あの、カナブンの小さいやつね。
(参加者)白菜についていたんですね。
(丸山)これだと農薬とかも利かなそうですね。きれいに弾いてしまいそう。
→ボーベリアという農薬しか効かないね。
(丸山)現代農業では物理的に粘着テープで獲るとか。
(参加者)掃除機で吸い取るとか。ハンディタイプの(笑)
(丸山)こいつの幼虫が食っている?
(参加者)いや、こいつ自体が食うんです。白菜にびっしりついていたんですよ。ここは白菜をやっていたんで。
(市川さん)アブラナ科の連作はダメっつうことだね。
(丸山)でもアブラナ科の連作はダメって聞くけど、こいつらはあまり聞かないですよね。最近のあれなんですかね。
(市川さん)うちの大根畑はどうだったかな、大根作った後に大根だったけどな。
(参加者)キャベツとかブロッコリーにはつきにくいと書いてあったけど。
(丸山)ここまで小さいと光合成もできないですよね。
(参加者)小さいうちに食われてなくなってしまっているんですよ。
■ニンジン畑
→枚数が十分達していないのになんか。
外の葉が寝始まったから、そろそろ窒素が切れ始めているから、追肥をやった方が良いね。3㎏は最低やった方がよいね。
(丸山)そんなに?853を反当40㎏、2袋ですね。
→なんか怪しい(笑)根こぶ?わからないな。他の人参は?大丈夫だね。
でもあれだよね、千葉の人参の作り方ってすごい余裕だよね。
これってさ、たぶん、反別になおしたら三万粒あるかないかじゃない。普通は最低でも6万粒ぐらいだから。
(参加者)え~、それは発芽率が良いということ?
→いやいや、余裕で。
(丸山)作業性を重視して、反収じゃなくて。
→だって、普通だったら、これ2条でしょ?7条でやるんだよ。元肥一発で行くから追肥はしないから。
(丸山)普段だと、このぐらいの高さですね、葉っぱは。ずいぶん間延びしている。
これの2倍ぐらいになって、かつ、ここに黒葉が入っているということは、さらに養分を残して消費しきれなかった。長さでは消費しきれなかったから食われている。
(参加者)なるほどね~。雨天、曇天続きで細胞が作れなかったの分がここに残ってしまっている。
<小祝さんが、圃場を見ながら7条蒔きを提案>
→元肥一発で3列でやったら大儲けじゃん?
1回さ、一番、畑の端でいいから、通常施肥の2倍ちょっと、3倍ぐらい窒素量を入れて、それで一番端だけ7条で蒔いてみて。
(参加者)なるほど。
→もしそれ、量がとれたら(笑)1回ごとに外車買えるよ(笑)
(丸山)それで計算出来たら面白いですね。
→前、愛媛で教えていた時に、大体平均収量が3.5トンだった。それは今は最低が10トン。
(参加者)え~!
→で、マックスが15トン。で、今回、しんごくんが8トンいったでしょ。種の数が足りなかったから8トンだったけど、もっと蒔いていたら10トン楽にいっていた。
で、一番のポイントはせっかく太陽熱やって草が出ないのだから、種をもっと蒔いてよいということ。逆にいうと、ここに窒素が残っているから、あとが怖い、次の作。次の作に虫がきちゃう。
(参加者)でも、びっちり撒いたら土寄せとかは?
→いらない。種を蒔いた後は何もいらない。だって雑草が無いのだから土寄せをする必要性がない。これを言わせてもらうと、この幅でいいんだよ、こことここで7条。
窒素が45㎏、反、45㎏。普通は15㎏だから3倍。堆肥とアミノ酸で45㎏。
(参加者)太陽熱を初めてやったけど、こんなに威力があると思わなかった。草とってないですもの。草生えていないんです。びっくりしたんです。やってみるものなんだな、と。
→太陽熱が出来ると多収穫が出来る。だよね、しんご君?
(市川さん)多少。
→秘密主義になったな(笑)
(市川さん)だって、うちだってそんなに太陽熱やったって上手くできているわけじゃないですもの。やっぱりこけちゃう時はこけちゃいますし。大雨当たって下が硬くなっちゃうとダメだし。
→まあイレギュラーが無ければね。今はどのぐらい撒いているの?
(市川さん)6万ちょっとかな。
(丸山)今回、8トンとれたのは、個体重量もある?
(市川さん)揃っていたんですよね、きれいに。
→5万粒で150gだと?
(丸山)7.5トン。
→揃っていれば8トンいくものね。
(市川さん)で、虫がわさわさいたんですよ。芋虫みたいなの。それがソルゴーの残さを食っていて、ニンジンは全く食っていなかったんです。今回はニンジン外したかな、と思って(笑)そっちの方が甘くて美味しかったんですかね。
→まあ、ニンジンは最低、最低8トン。
(市川さん)8トン取れたら嬉しいですよね。
→日本平均が3.5トンだから。ここの畑で今3トンだから。
大丈夫、いけるから。絶対端を7条植えでやってみて。窒素40㎏。
ニンジン当たったら売り上げの大事だからな。
例えば、ニンジン10トン出来ました。8万粒、8万本。で10トン。いくらになる?
1回100万いっちゃうでしょ?
東京オリンピック目指して東京が大騒ぎし始めている。こういう美味しい野菜を探して。
→窒素少なめにやっているね。
(杉本さん)こっちの畑は調子が良くないんですよ。
→前作は何だった?
(杉本さん)たぶん、大根だったと思います。
→たぶん、窒素が無いよ。もともと大根は窒素が少ない作物だから。切れちゃったんだよ。それに対して施肥が少なかった。
(丸山)施肥どのぐらい?
たぶん、反で60㎏ぐらいしか入っていないですね。853で。
→4.8㎏(笑)堆肥は?
(杉本さん)堆肥の車で6台入っているんで。たぶん、1回に300~400㎏入っているんで。
→2.4トン。この面積で!?絶対足りない(笑)
(杉本さん)いや、7台か。
→ここの面積は?
(杉本さん)3反歩より大きいですよ。
→3反歩で2.4トンだから、窒素として3と考えていくつ?2トンして60㎏。60㎏を3でわると20㎏。3トン×2%は15㎏。2000㎏×3%は。。。
(杉本さん)端だけでもないか(笑)
→こういうさ、堆肥が最初に落ちたところは調子が良い。だから完全に窒素不足だよ。
(丸山)ちょっと抜いていいですか?
→病気は無いけど、窒素がどんどん足りないよね。
<葉っぱを外して枚数を数えて>
(丸山)葉っぱの枚数が多そうな感じはするんですけど。
→外葉の大きさがほとんど並んできちゃっている。窒素が切れてきている(笑)どうする?
窒素は撒きずらいぞ。全然窒素が足りないよ。
(市川さん)追肥は効く?
→追肥はこの大きさだったら効きますよ。
(杉本さん)とりあえず、全体的にやります(笑)
→大根の場合はどっちにしろ栄養成長から葉っぱ開くじゃない、それで窒素終わり。
このニンジンは逆に切れかかっている。葉っぱの大きさが並んできちゃっているでしょ。窒素が切れてきている。
→ここさ、こんなに埋まっていないんだから、相当無駄だよ。さっき言ったけど、<蒔き筋を書きながら>6条出来る。1.5倍の肥料を撒いていれば、6条植えはできる。何のための隙間?ということになっている(笑)
ニンジンは追肥をやればやるほど肩のところが腐りやすくなる。均等に肥料があるから寸胴になる。肩のところにあると、まずい時は、雨の時は腐る。
■キャベツ畑
→これもサルハムシじゃない?
(杉本さん)そうすね。結構、あいつ道を歩いているんですよ。
→羽もあるしね。ここ、ちょっとお酢をまいて固めた方がよいかも。
(丸山)それともケイ酸とか。
→ケイ酸を肥料として堆肥に入れた方がよいかも。後からはだめ。やっぱり市川さんのところの被害が少ないのは、何が違うかというともみ殻堆肥と、さらにケイ酸が効いているから。
で、ケイ酸が多くなると一番わかるのは、葉っぱの裏にとげが出る。
(丸山)冬大根のような。
→下手すると手に刺さる。ケイ酸が少ないと固くならない。手袋なしで(笑)
(参加者)一回発生しちゃったらどうすれば?
→基本的には葉っぱをバシッと固くしちゃう。増えないようにする。そうすると彼ら柔らかいところに移動する可能性がある(笑)
(参加者)じゃあ、どっかつくってそっちに移動させる。
→窒素過剰にして、柔らかくする。
(参加者)増やしたものを焼却処分(笑)
→最後は掃除機よ(笑)だってゴミ捨ての時に触りたくないもの。
■里芋
(杉本さん)今年はかなりやられているんです。
→病気ですね。
(杉本さん)今年はみんなこれでやられているのよ。
→里芋なのに水をはじかない。
(丸山)光合成量が少ないから油がでない、油が出ないから水をはじかない、水が滞留するからカビが生える。
→でもね、これは修復した後です。中心部分にカビが生えたんですよ。で外葉が自殺したんです。
(丸山)それで侵入を防いだんですね。
(杉本さん)裏から入ったんじゃないの?
→裏ですね。まあどっちにしろ水をはじくんだけど。
だから植物は面白いんですよ。やられたら周りの細胞が自殺して、かまえちゃんです。そうすると菌が侵入できないから。
もうこうなった時は菌も動いていない。最初の頃は水っぽくなるんですよ。
■ゴボウ
→ゴボウにネマ出たっていうなら、これ全部を太陽熱やるしかないね。ゴボウの肌が黒くなるんですよ。太陽熱やらないと。この面積やるのも大変だけど。
ニンジンもポツポツついたりしてね。
(杉本さん)落花生も黒くしみがあるのもネマ?
→そうです。思いっきり太陽熱で熱かけて。里芋もやばいからね。掘ったら中が腐っているというのもあるから。だから蔓延してきている可能性もある。そろそろみなさん太陽熱をやらないと。
(杉本さん)やりきれないよな(笑)ニンジンはやるけどな。
→いや、だからニンジンでもやっていけばやっていくほどいいの。やった時に菌の密度がど~んと下がるから。またジワジワ上がってきた時にニンジンでど~んと下げる。
また、堆肥にケイ酸混ぜた方が良いかもね。
(市川さん)ぱっとみさ、葉っぱを見た感じだとセンチュウ、出ている感じじゃないんじゃない?
→もしかしたらフザリウムみたいなのかもしれない。同じような皮を食べちゃうやつがいるんです。抜けるかな?
→溶けちゃっているよね。洗えばわかる。根っこの表面をみればわかる。
いや、もうわかる。もうボロボロだね。これは太陽熱をやらないとだめだね。根こぶセンチュウだね。凄いね、完全に分解されて中まで入っちゃっている。
→ケイ酸って土の60%の成分なんで。あとはそれが溶けやすいケイ酸なのかどうかというのは見なきゃいけないけど。
→根こぶ病の場合もあるから。そうなるとアルコール殺菌しかないから。だから逆を言うと、もうちょっとあの堆肥を窒素系を減らして繊維系にする。繊維からアルコールが採れるようになるんで、そうするとこれは治まる。窒素肥料としてあれをあんまり使うのはどうか。
■キャベツ畑
(丸山)これはBT剤は?
(杉本さん)1回だけ。
→さっきモンシロチョウが飛んでいたんだけどね。
(丸山)降りないというのがね。
→彼ら降りてクモがいたらアウトだからね。
(丸山)この外葉だったら、そこそこなりそうですよね。
→もう売りに出していいでしょ。あんまり大きなものは今は売り物にならないでしょ。大きい買う消費者はあまりいないでしょ。
(丸山)炭水化物がないと重さがとれないから規格外になってしまう。
(丸山)この辺が微妙に根の太さがうねっている感じはあるけど。
→まあ、でも根こぶ出ていたらこんなに成長しないでしょ。
(参加者)地表にキャベツの新しい根っこが見ているのは良いのか悪いのかどっちなのでしょうか?
→調子が良いでしょ。
(参加者)地中にいずらいから地表に出ているのかな、と思ったんですが。
→いや、たぶんアミノ酸系があったんでしょ。何か撒いたでしょ?
(参加者)先生、よくわかりますね。お酢とアミノ酸を液肥で葉面散布しました(笑)根っこが調子わるいな、と思ったんです。それが垂れたんでしょうかね?
→もちろん。何か撒いて、土を柔らかくしてアミノ酸を撒くと、表層5ミリのところにアミノ酸層が出来るんです。
(参加者)良かったんですか?
→いいと思いますよ。硬かったんですよね?
(参加者)硬くて根っこが伸びていないな、と。
さてさて、全体的に杉本さんのところはもう堆肥もそうだけど太陽熱をしっかりやらないとやばいかも。そろそろセンチュウ系が多くなってきている可能性がありますね。あれだけゴボウの皮が食われるとなると、次はたぶん発芽してすぐやられると思うよ。
(杉本さん)菌密度は大丈夫?
(小祝さん)そうだね、菌密度は10の何乗と減っちゃうから、例えば1億いた数が大体1000とかそんな数にストンと。
太陽熱の効果というのは一体何で出るか、団粒だけでなく他にも実はあるんです。というのを後で説明します。
(杉本さん)今年はちょっと7月が晴れの日が少なかったからどうかと思ったけど。期間が本当は長いのが良かったけど。
→なので堆肥の質を変えてしまうというのもあると思うんですよ。あの市川さんのところでやった高糖度ソルゴー、これをやったところはおそらく収量が変わるんですよ。
つまり今の堆肥は窒素過多なんですよ。どっちかというと窒素肥料の代替えなんです。それももちろんいいんだけど、繊維をもっと入れて水溶性炭水化物を増やしてあげると天気が悪くても大丈夫になる。炭水化物というのは実は保険なんですよ。万が一の保険なんです。
(杉本さん)それを年中使ってしまうと(笑)
→まあ土の中に入っている保険であれば、天気が良い時はあまり出ない。